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非居住者の土地譲渡課税について
No.1027

非居住者の土地譲渡課税について

お名前:図書館 カテゴリー:所得税 知恵袋 質問日:2012年7月16日
昭和30年代に米国籍を取得し米国に居住している従妹たちが、日本に所有している土地の売却についての質問です。
この土地は4人の従妹たちが昭和30年代に相続で取得し、共有名義としています。
登記簿では畑となっていますが、現況は道路になっています。
この土地を市道として寄付することを前提に、5百万円で日本の法人に売却することとなりました。
直接、従妹たちが寄付しないのは、外国人からの寄付を市役所が嫌うためですが、現時点で市が寄付を受けることが確定している訳ではありません。
この売買に伴う税率、税額、申告などについて、ご教示ください。



No.1 回答者:西山元章 税理士 回答日:2012年7月16日
 図書館さん 公認会計士・税理士の西山元章と申します。
 よろしくお願いいたします。

 未確定ではあるが市に寄付することを前提に、法人に売却するとのことですね。
 従妹さんは日本の非居住者に該当しますが、基本的には日本の居住者と同じです。
 
 すなわち、24年中の売却であれば、25年3月15日までの確定申告にて、土地所有者である従妹さん4人がそれぞれ、申告納税することとなります。
 税額は、所得税として譲渡益の15%(日本の非居住者ゆえ住民税は課税されません)を支払います。

 譲渡益は、売却額から取得費、譲渡費用を差し引いて計算します。
 取得費は、取得がかなり以前ですから不明と思います。仮にわかっていても、売却額の5%の概算取得費のほうが有利でしょうから、概算取得費を採用します、譲渡費用は、仲介手数料など譲渡に要した費用をいいます

 4人が1/4ずつ共有であれば、500万円の1/4で125万円、取得費は6.25万円、譲渡費用を4.75万円として計算すると、税額は一人当たり17.1万円((125-6.25-4.75)×15%)になります。
 他に所得がなければ、基礎控除38万円の控除も可能ですから、税額は11.4万円になります。
 この金額を各人がそれぞれ、所轄の税務署(非居住者ゆえ東京の麹町税務署が所轄)に支払うこととなります。

 ところで、非居住者が不動産を売却した場合、その不動産の購入者は売買代金の支払時に、支払金額の10%相当額を源泉徴収して税務署に支払う義務があります。つまり、非居住者に支払われる金額は、支払金額の90%相当額となります。売却した非居住者は、確定申告をすることにより源泉徴収された金額が精算されることになります。
 不動産の売買金額が1億円以下で、かつ、購入した個人が自己またはその親族の居住の用に供するためのものである場合には、源泉徴収の必要はありませんが、本件の場合は法人が購入するようですから、源泉徴収されるはずです。
 源泉徴収された場合、購入者から源泉徴収票の交付を受けてください。
 申告時に添付することにより、源泉徴収税額が所得税額から差し引かれます。
 すなわち、一人当たり12.5万円が、売却時に差し引かれることになるでしょうが、申告書に添付することにより、同額所得税から控除されます。場合により還付(11.4万円の税額なら申告により1.1万円の還付)されることもありますのでご注意ください。

注) この回答は回答日時現在の各種法令、規則等に従い行われております。その後の法改正等に関するフォローについてはこの回答上では行っておりません。なお、この回答は回答者の経験、知識等に基づき行われておりますが、あくまでサービスの範疇にすぎず、最終的な責任について負うものではない点ご留意ください。

回答者 大阪府大阪市北区の公認会計士・税理士西山元章事務所
この回答は  (役にたった/1件)

No.2 回答者:小林慶久 税理士 回答日:2012年7月16日
図書館さん、はじめまして。税理士の小林慶久です。宜しく御願いします。
 まず事実確認ですが、アメリカ在住の従妹様4名の方が共有で相続された土地に関し、全体として500万円で日本のある法人に売却されるということで宜しいのですね?相続されたのが、かなり前のことなので原価は売価の5%になろうかと思います。そうすると、それぞれの方の譲渡益は下記のように計算されます。

売価・125万円(500万円÷4人分)ー(譲渡原価=売価の5%・6万2,500円+譲渡経費)

 上記算式の元、譲渡経費を当面度外視した場合の譲渡益は、1,187,500円です。それに対して1,000円未満の切捨てを行った1,187,000円から基礎控除の38万円を差引き、長期保有していた譲渡に関する譲渡所得税率の15%を乗じて百円未満を切り捨てた12万1,000円が各自日本で納めるべき所得税額ということになろうかと思います。日本に居住されている方であれば、それに加えて譲渡所得の5%に相当する住民税も負担しなければいけないのですが、図書館さんの従妹さんは、皆さん全員米国籍を取得されているようなので、日本で住民税を負担する必要はありません。
 手続の流れとして、この2012年分について彼女達はアメリカで他の個人収入と合わせて連邦所得税につき計上すべき収入の範疇に含まれる投資不動産譲渡益(Sale of Real EstateProperty)の申告をしなければいけないことになります。連邦所得税法において、それに対する最高税率は、2010年度の制度が変更していなければ、この度日本で土地売却の際に適用される税率と同じ15%と定められているはずでおり、住んでいらっしゃる州によって若干違うのですが、ドル換算した譲渡所得から同じく2010年の制度を前提にして便宜上アメリカでの他の収入がないものとすると、標準控除としての年間5,700ドル等に加え、人的控除としての基礎控除年間3,650ドルを差引いた金額が米国での課税所得になり、日本で納められた税金は日米間の租税条約を元にドル換算によって外国税額控除の対象となるため、アメリカで還付を受けられる可能性も高くなると言えます。
 前述の譲渡利益の算式において譲渡経費に算定出来るのは、通常日本国内在住の方であれば、印紙税や仲介手数料なのですが、アメリカに住んでいらっしゃる方を対象にすると、日本に渡航する費用も常識的な範囲で必要経費に加えて良いと考える次第です。ゆえに合理的な範囲で日本への旅費を譲渡経費に計上されれば、先程申し上げた1,187,000円の譲渡利益を圧縮出来、よって日本での所得税も減り、各控除との関連でアメリカでの確定申告の際の外国税額控除の活用により還付を受けられる可能性もさらに高くなると言えます。連邦所得税における各標準控除の額やそれと選択適用出来、実額計上である項目別控除の内容、加えて人的控除の額については、今年ー2012年度に適用される金額等を従妹さんにそれぞれアメリカにて確認してもらって下さい。

 
 

注) この回答は回答日時現在の各種法令、規則等に従い行われております。その後の法改正等に関するフォローについてはこの回答上では行っておりません。なお、この回答は回答者の経験、知識等に基づき行われておりますが、あくまでサービスの範疇にすぎず、最終的な責任について負うものではない点ご留意ください。

回答者 千葉県市川市の小林慶久税理士事務所
この回答は  (役にたった/4件)



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