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No.1585 | カナダ不動産売却時における日本での納税申告について |
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お名前:ゆいこ | カテゴリー:その他 知恵袋 | 質問日:2013年11月25日 |
以前は、小林慶久先生にご丁寧なご回答を頂きまして、大変感謝しております。詳細な解説のケーススタディまでご提示いただきまして、大変わかりやすかったです。 実は、アメリカの不動産だけではなく、カナダの不動産もございまして、こちらに関しましては、日本における確定申告につきましてお伺いしたく、再来いたしました。 カナダにおける所有不動産の譲渡及び、売却時における確定申告、及び、税金の還付受給につきましては、把握をしておりますが、日本での扱いがどのようになるのか、お伺いしたい次第です。 浅い知識では、日本居住者が世界中で得た所得は日本にて申告の義務があるかと存じます。 アメリカにおける不動産資産の申告に際しては、譲渡益から、経費、基礎控除を行った差引譲渡所得に対して、短期所有の場合、30%及び住民税の9%、長期所有の場合は、15%と5%が課税され、こちらが、外国税額控除として差し引かれるとお伺いしました。 では、同じケースで、カナダの不動産の場合も同様に、日加租税条約の下、カナダ税務局に支払った税金は外国税額控除の対象となるのでしょうか。 その際に適用される所得税率も、米国の際と同様となるのでしょうか。 お手数ではございますが、何卒ご教授のほど、宜しくお願いもうしあげます。 |
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No.1 | 回答者:小林慶久 税理士 | 回答日:2013年11月26日 | |
ゆいこさん、税理士の小林慶久です。こちらこそありがとうございます。ゆいこさんのように仰って頂き、今まで頑張って来た甲斐がありました。 ところでカナダにも不動産物件を御持ちとのことですが、貴女が日本の居住者でいらっしゃることを前提にさせて頂いて基本的な申告の流れは、前回御質問されたアメリカに所有されておられる不動産を売却された場合と全く変わりません。最初に譲渡物件の所在するカナダで御申告をされた後に、日本で外国税額控除の適用を受けることになろうかと思われます。アメリカ、カナダに限らず、ドイツ、英国その他のGなんとかといったサミットに出席するような国々は、基本的に我国との間にて租税条約が締結されているものと御理解下さい。 それでは具体的な数字を使って御説明して見ましょう。それに際しカナダの英雄でアイスホッケーの名選手として鳴らしたウェイン・グレッキー氏に関係し、NHL(ナショナルホッケーリーグ)で彼がかって背番号として付けていて、現在は同リーグの全球団の永久欠番である99に因み、99万カナダドルで売却された不動産の原価が50万カナダドルであるとしましょう。これより一昨年に税大ジャーナルに掲載された同国の税制に関する記事に記述されている2009年時の制度に基づいて述べて見ます。 ゆいこさんは御存知でいらっしゃると思いますが、カナダは不動産の譲渡所得に関し、アメリカや日本のような分離課税のシステムは採られず、あくまでも総合課税の一つの項目として課税が為されます。建物に対する減価償却の方法も日本とは異なるらしいので御留意して頂き、キャピタルゲインとして先程の設例で計算される譲渡益の2分の1の金額が課税所得となるようでありまして、以下にその算式を御示し致します。 (99万カナダドル - 50万カナダドル) × 2分の1 = 24万5,000カナダドル これにカナダにおける4段階の累進課税による税率を乗じますと、税額は下記の如く計算されます。 (245,000-81,452)×29%+15,069=62,497.92カナダドル さらに同国からすれば外国人に該当するゆいこさんにも認められるであろう人的税額控除としての基礎控除を差し引くと、 62,497.92 - 1,548 = 60,949.92カナダドル 1カナダドルを日本円で表わすと100円だとするならば、6,094,992円が当地での税額となるのです。 日本におきましては、上記の譲渡所得に付き、半減される前の元々の金額の49万カナダドル、円換算だと4,900万円の譲渡益に長期所有物件、短期所有物件の所定の区分による税率が課されるため、相対的にカナダの方が譲渡所得税は安く収まるのではないかと思われますが、前文のそれぞれの場合を試算して見ましょう。 ①所有期間5年以下の短期所有物件 4,900万円 × 30%(さらに9%の住民税が課税されます。) = 1,470万円 ここから上記で算定したカナダでの税額を外国税額控除として減算することとなります。 1,470万円 - 6,094,992円 = 8,605,000円(百円未満切捨て) ②所有期間5年超の長期所有物件 4,900万円 × 15%(上記と同様5%の住民税が徴収されます。)= 735万円 ①と同様外国税額控除適用分を減額致します。 735万円 - 6,094,992円 = 1,255,000円(百円未満切捨て) 前述でも触れました様にカナダでのキャピタルゲインにたいする最高税率は他の所得と同じで29%なのですが、譲渡益の2分の1が課税所得となるため、日本の譲渡所得税率に換算すると実質は14.5%となるのです。それゆえ最低でも所得税だけで15%の同税率が課される本邦におきましては、アメリカで譲渡収入が発生した場合のように外国税額控除を適用しきれない外国での納税額が生じる事態はほぼあり得ないということが言えます。さらに手続きにはカナダの確定申告は翌年4月30日までの提出となっているのですが、我が国は同3月15日と期限までの期間が短いため件の外国税額控除を適用為(な)さるためには、3月15日よりも早くカナダでの申告を済まさなければいけないでしょう。 そしてカナダにおきましては、連邦所得税のみでおそらく課税対象としての法人とは異なり、日本の地方税に相当する州税の適用もないため、当国の物件を売却されるような折には、その時点より前にかって某有名大学教授がやっておられた如く、年末に掛けて年を跨(また)いで住所をそちらに移されるような事を御検討されても良いのかもしれません。些(いささ)か余談かもしれませんが御住いになられた証(あか)しをしっかり残されるべく、そんな折には今の時期よりちょっと前のシーズンのメープル街道や、かってウェイン・グレッキー氏も所属していたエドモントン・オイラーズのアイスホッケーの試合などを御満喫されて見て下さい。私と致しましては、ゆいこさん他当サイトへの相談者の皆さんの信頼に応えるべく、この後彼(か)のグレッキー氏のような「グレ-ト・ワン」の存在に少しでも近付けるべく精進を続けて参りたいと願う次第です。 注) この回答は回答日時現在の各種法令、規則等に従い行われております。その後の法改正等に関するフォローについてはこの回答上では行っておりません。なお、この回答は回答者の経験、知識等に基づき行われておりますが、あくまでサービスの範疇にすぎず、最終的な責任について負うものではない点ご留意ください。 |
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回答者 | 千葉県市川市の小林慶久税理士事務所 | ||
No.2 | 回答者:鈴木規之 税理士 | 回答日:2013年11月27日 | |
ゆいこさん、こんにちは。 ゆいこさんが日本の居住者に当たるとの前提ですと二重課税になっています。 そこで、日本の所得税法では、外国税額控除という制度により日本での計算された 税額のからその譲渡された不動産の課税価額に相当する税額を限度に控除されます。 ただし、租税条約締結国間においての前提です。 (カナダと日本は租税条約締結されています。) この計さんは複雑なので専門家にご相談して下さい。 私は、竹中先生のようなこそくな手段は好みませんが、税制を熟知していると 節税になることは確かです。 注) この回答は回答日時現在の各種法令、規則等に従い行われております。その後の法改正等に関するフォローについてはこの回答上では行っておりません。なお、この回答は回答者の経験、知識等に基づき行われておりますが、あくまでサービスの範疇にすぎず、最終的な責任について負うものではない点ご留意ください。 |
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回答者 | 静岡県静岡市清水区の鈴木規之税理士事務所 | ||
税理士への相談は、基本的に、各税理士の報酬規程に沿って「有料」だとお考え下さい。詳しくは税理士本人にお問い合わせ願います(この場合、回答者のみにお問い合わせをお願いします)。
『https://www.zeitan.net/chiebukuro/その他/No1585 のご回答から追加でお話を伺いたいのですが、相談料はどのように考えればよろしいでしょうか』 と、税理士に配慮した丁寧なお尋ねをしていただければ、きっとリーズナブルな対応をしてくれると思います(追加で無料回答を行ってくれる場合もあるかもしれません)。