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No.1568 | リ-ス契約の経理処理 |
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お名前:浩介 | カテゴリー:法人税 知恵袋 | 質問日:2013年11月16日 |
中小企業の経理担当者です。リ-ス契約の経理処理についておたずねします。 数年前からファイナンスリ-スについては所有権移転外リ-スも売買とすることになりました。ファイナンスリ-スのほとんどは所有権移転外リ-スと聞いていますのでほとんどは売買処理するものとは思いますが、私にはファイナンスリ-ス取引とそれ以外(オペレ-ティングリ-ス)との区分基準が良くわかりません。 ファイナンスリ-ス取引の要件として下記の2要件全てに該当することとなっています。 ①中途解約不能・・・契約明記なき場合、未経過期間に対応するほぼ全部(原則90%以上)を支払うこと ②フルペイアウト・・・経済的利益を実質的に享受し、使用負担費用を実質的に負担すること。(リ-ス料合計額が取得費用の原則90%以上時、実質的に負担するに該当) ここで質問ですが、もし、リ-ス契約が、①又は②においてどちらかが90%未満だとファイナンスリ-ス取引の要件は満たさず、賃貸借処理し、注記不要となります。この処理で良いのでしょうか? リ-ス会社としても売買処理(リース資産債務計上)やリ-ス債務注記を避けたい社長に対して営業するには上記のようなリ-ス契約を提供しようとするはずであり、必ずしもリース契約のほとんどがファイナンスリ-ス取引とは言えないように思いますが解釈が間違っているのでしょうか? |
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No.1 | 回答者:小林慶久 税理士 | 回答日:2013年11月17日 | |
浩介さん、税理士の小林慶久です。宜しく御願いします。 まず最初に頭を整理すべくファイナンス・リースの定義についてですが、リース会計基準第5項により、以下の旨が定められています。 (1)貴方も①で仰られている通り、契約の途中で解約出来ないこと(解約不能) (2)②として挙げられている様に、借り手がリース物件からもたらされる経済的利益を実質的に享受することが出来、かつ使用に伴って生じるコストを実質的に負担することとなるリース取引(フルペイアウト) リース取引に関する会計基準の適用指針によるその具体的な判定基準として、項目9に掲げる(1)現在価値基準、(2)経済的耐用年数基準のいずれかに該当することが明記されております。 (1)現在価値基準 ・・・ 解約不能のリース期間中のリース料総額の現在価値が、当該リース物件を借手が現金で購入するものと仮定した場合の合理的見積金額の概ね90%以上であること (2)経済的耐用年数基準 ・・・解約不能のリース期間が、当該リース物件の経済的耐用年数の概ね75%以上であること(ただし書は省略致します。) 商取引で用いられる一般的なリース契約は、所有権がリース契約終了後借り手に移転することが想定されているため、浩介さんの掲示されておられる要件も満たすことになると推察します。そして所有権移転外ファイナンス取引に関する資産及び債務については、注記の必要は無いのですが、リース資産およびリース債務という形で、前述の指針に基づくとするならば、財務諸表に改めて科目表示する必要があるのです。要するに結ばれた資産のリース契約に関して、所有権移転の有無に関わらず長期的な法的債務が確定するものは、売買したかの如く何かしらの方法で、それに伴う資産並びに負債を総額で計上しなければならないものと御理解下さい。御参考までに貴方がフルペイアウトの括弧書で述べておられる記述は、以下に記載する法人税法施行令132条の2第2項の条規を仰っておられるのだと思われます。 資産の賃貸借につき、その賃貸借期間(括弧書省略)において賃借人が支払う賃借料の金額の合計額がその資産の取得のために通常要する価額のおおむね100分の90に相当する金額を超える場合には、当該資産の賃貸借は、法64条の2第3項第2号の資産の使用に伴って生じる費用を実質的に負担すべきこととされているものであることに該当するものとする。 ごく特殊な器具等を短期間で賃貸借することを除いた、先述の如く通常事業者の方々が締結されるようなリース契約はほぼファイナンスリース取引に該当すると思われるのですが、証券取引法の適用対象とはならない上場会社以外の中小企業においては「中小企業の会計に関する指針」に拠り、従来通りの賃貸借処理が認められているため、浩介さんが御懸念されるような事態を想定される必要はなく、貴方は解釈を間違っていらっしゃるというよりも、リース会計基準の適用範囲の認識を誤っておられると考える次第です。ちなみに法人税法においても前文の指針を受け、法人税法64条の2、同施行令131条の2第3項の規定におきまして、税法上売買と見做されるリース取引においても、そのリース料の支払いを損金経理している際には、その金額は償却費として損金経理をした金額に含めると定められています。すなわち中小企業におかれましては、厳密なリース会計基準に則ると売買と捉えられるリース取引でも、従来と同じくその契約に基づき支払った金額を、リース料として計上する方法で経理されていても大勢には影響を及ぼさないのです。 注) この回答は回答日時現在の各種法令、規則等に従い行われております。その後の法改正等に関するフォローについてはこの回答上では行っておりません。なお、この回答は回答者の経験、知識等に基づき行われておりますが、あくまでサービスの範疇にすぎず、最終的な責任について負うものではない点ご留意ください。 |
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回答者 | 千葉県市川市の小林慶久税理士事務所 | ||
No.2 | 回答者:大西信彦 税理士 | 回答日:2013年11月18日 | |
お尋ねの件です。 ファイナンス・リースは ①中途解約不能…契約上(条文中解約不能条項がある)あるいは事実上(解約すれば経済的なペナルティが課される)中途で解約できない。 ②フルペイアウト…その資産から実質的に経済的利益を享受でき、様々な負担を負う の2点を満たす リース取引で、それ以外がオペレーティング・リースとなります。 ただ、この2点を実務上判断するのが煩雑・困難なため ①リース料総額の現在価値≧見積現金購入価額×90% ②解約不能なリース期間≧経済的耐用年数×75% のいずれかに該当するものがファイナンス・リース取引とするというのが会計上の取扱いです。 そして、このいずれの要件にも該当しないものは、オペレーティング・リースですから、経理処理は賃貸借処理となります。また、重要性のある場合には解約不能期間の未経過リース料の注記をします。 ファイナンス・リース取引は売買処理が原則ですが、重要性のない場合には賃貸借処理が求められており、注記も不要です。 仰せのように、売買処理は一般的には経理処理が煩雑ですから、リース会社としては営業上、ファイナンス・リースに該当しないようなリースとして提案してくるのは事実です。 以上、ご参考願います。 注) この回答は回答日時現在の各種法令、規則等に従い行われております。その後の法改正等に関するフォローについてはこの回答上では行っておりません。なお、この回答は回答者の経験、知識等に基づき行われておりますが、あくまでサービスの範疇にすぎず、最終的な責任について負うものではない点ご留意ください。 |
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回答者 | 大阪府大阪市北区の大西公認会計士事務所 | ||
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『https://www.zeitan.net/chiebukuro/法人税/No1568 のご回答から追加でお話を伺いたいのですが、相談料はどのように考えればよろしいでしょうか』 と、税理士に配慮した丁寧なお尋ねをしていただければ、きっとリーズナブルな対応をしてくれると思います(追加で無料回答を行ってくれる場合もあるかもしれません)。