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夫の事業破産中の妻の事業収入について
No.1567

夫の事業破産中の妻の事業収入について

お名前:ケイコ カテゴリー:法人税 知恵袋 質問日:2013年11月15日
広告会社を最近設立し、社長をしている女性です。
私の夫は小さな出版会社を経営していましたが数ヶ月前に資金繰りがうまくいかず破産しました。現在も弁護士さんにお願いして破産手続き中です。
私は夫と結婚してから夫の会社の事務全般を手伝ってきましたが、広告や出版等の現場営業はまだあまり良く分かりません。夫は破産しましたので、私が社長として会社を設立して、事務全般は私がやりますが、営業や現場の仕事は夫が無給でやってくれます。まだ始めたばかりなので、社員は私1人です。今回設立した会社は私の名前しか出てこないし、私も社長として頑張っているつもりですが、正直なところ、現時点では夫の協力なしでは成り立ちません。でも夫が収入がないので私が収入を上げなければ生活が成り立ちません。
今回お聞きしたいのは、夫が破産手続き中ですが妻である会社の事業に影響しないかということです。もし影響があるとすれば何が問題でしょうか?どういう対策を立てれば良いでしょうか?
宜しくお願いします。



No.1 回答者:小林慶久 税理士 回答日:2013年11月17日
ケイコさん、小林慶久です。今月初めに実施されたプロ野球の日本シリーズで巨人は楽天の勢いに惜しくも敗れてしまいましたが、コミックの世界で「進撃の巨人」は業績絶好調との事。人生の艱難に怯まず、貴女方御夫婦に前向きに進んでもらうべく、税理士の私もこれより進撃開始!
 とは申せ、此の度の御質問に関連する民事保全法とか同執行法とかいう分野は、弁護士の先生の専門領域なので、私の可能な限りで御役に立てることを願っております。一般的に悪質な方法で債務者が別の方の名義を借りて新会社を創り、実質的に経営権を握っているような場合におきまして、債権者の判断で詐害行為だとの指摘に基づく民法第424条に拠る詐害行為取消権の行使が為(な)されると、せっかくケイコさんの名義で設立された新会社の資産にも差押えが及ぶような事態も起こります。ただ債権者とすればそれを行うためにも民事訴訟法に則った法手続きが必要になりますので、通常の場合には銀行等の金融機関のような大きな組織でなければ、その訴えすらも起こせ得ません。よって貴女が破産手続き中の御主人の債務の連帯保証人になっていらっしゃらないのであれば、ある日突然不意打ちでケイコさんやその経営される会社の財産が、差し押さえられるようなことはまず無いでしょう。もしそれに該当するのだとしたら、個人よりかは直ちには差押えが及びづらい新しい会社に貴女名義の預金等を移して下さい。
 そして税金の面に関してですが、御主人が経営していらっしゃった会社に滞納の税金があられるとすると、ケイコさんを代表として此の度設立された新しい会社がその事業を継承したと税務当局より認定されることにより、国税徴収法第37条(共同的な事業者の第二次納税義務)、同38条(事業を譲り受けた特殊関係者の第二次納税義務)の適用等を受けて、新会社の預金等にまでかっての御主人の会社に対する税金の徴収に充てるべく、差し押さえられる可能性もゼロではありません。ただしそれかて無制限に延々と御心配されなければいけない類の問題ではなく、詐害行為の判断と同じように御主人が、形だけケイコさんを代表取締役にして別の会社を創ったかの如く虚偽的なものでなければ、かなりそのリスクは限定されると申しても過言ではありません。要は貴女が御二人の今後をしっかりと見据え、胸を張って「私こそ経営者である」と主張為(な)されば、世間の誰にも頭からそれを否定する権利などない筈です。仮に財産は債権者その他によって失われようとも、ケイコさん御夫婦の「絆」のように本当に大切なものは、如何なる力を以ってしても壊されてはいけないものなのではないでしょうか?
 さらに貴女の御主人は現在無給で御社の業務を手伝って下さっているとのことですが、破産の手続きがどこまで進んでいるかのは分からないため、断定的なことは申し上げられないのですが、まだ免責を受ける前の段階で下手に彼に報酬を支払うと、その4分の1の金額を上限に債権者から差し押さえられる可能性もあるので、よくよく今御依頼されている弁護士の先生に御相談されて見て下さい。少なくとも現時点におかれましては、ケイコさんのみに役員報酬を支給し、それを御夫婦の生活に充てられるのが無難なような気が致します。非常の際には、それに応じた対策が必要になる筈です。
 前述の詐害行為等に関して、昨今は弁護士業界も不景気ということで破産申請に立ち会われる管財人に選任される弁護士の先生が、その監視機能を果たすべく債務者の行為の否認権を用いようとする事例も多くなっていることを耳にします。されどケイコさんの御主人に限っては、そうした違反行為には該当せず、免責が無事に受けられるものと願わずにはいられません。
 最後に御主人の免責が確定したら件の弁護士の先生とも御相談の後、機を見て場合によっては彼に代表取締役を代わってもらっても良いのではないですか?この後如何なる事態に直面されようとも、御二人で苦境を乗り越えて行かれることを心よりお祈り申し上げます。
 
 

注) この回答は回答日時現在の各種法令、規則等に従い行われております。その後の法改正等に関するフォローについてはこの回答上では行っておりません。なお、この回答は回答者の経験、知識等に基づき行われておりますが、あくまでサービスの範疇にすぎず、最終的な責任について負うものではない点ご留意ください。

回答者 千葉県市川市の小林慶久税理士事務所
この回答は  (役にたった/3件)



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