トップページ > 知恵袋 > 法人税 > 土地の無償返還の届出書
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No.962 | 土地の無償返還の届出書 |
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お名前:長野 | カテゴリー:法人税 知恵袋 | 質問日:2012年4月16日 |
当社は、先日借地権の設定に関して「土地の無償返還の届出書」を税務署へ提出しました。しかし、「土地の無償返還に関する届出書の効力のない旨のお知らせ」という文書が届き、提出期限を経過して提出されたので、効力のない旨をお知らせします。という内容でした。税務署に電話したところ、「法人税基本通達逐条解説」という解説書に、「提出期限は、借地権の設定等があった後最初に到来する確定申告期限」とあります。これを過ぎて提出されたので、効力が無いという文書を出しました。提出された書類は、お返ししません。とのお話しでした。法律では決められていない(・・・と思うのですが)期限を、通達では決まっている、というのが腑に落ちませんし、効力が無いとすれば、当社に借地権が存在するという事で、法人税が課税されるのでしょうか。また、税務署は、効力が無いという書類を返さない?返せない?このへんも良く分かりません。 |
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No.1 | 回答者:小林慶久 税理士 | 回答日:2012年4月17日 | |
長野さん、はじめまして。税理士の小林慶久と申します。宜しく御願いします。 まず税務署の方が仰られた、おそらく法人税法基本通達13-1-7に関して、提出期限については「遅滞なく」と記述され、具体的にいつまでということは記載されていないのですが、その後の文章の流れからすると、確かに土地貸与の契約等をした日の属する事業年度内に届け出なければならないニュアンスは伝わって来ます。しかし、それはあくまでもその書類自体の効力の問題であり、それが仮に無効になったから、直ちに権利金の認定課税がされるわけではありません。 法人税法施行令137条においては「借地権(中略)を収受する取引上の慣行がある場合においても、当該権利金の収受に代え、当該土地(中略)の価額に照らし当該使用の対価として相当の地代を収受しているときは、当該土地の使用に係る取引は正常な取引条件でされたものとして、その内国法人の各事業年度の所得の金額を計算するものとする。」とされており、要するに相当の地代さえ受け取っていれば、権利金の認定課税等はされないことになっております。ちなみに確たる理由も無く、単にどなたかに土地を無償で使用させている場合ないし相当の地代より低い地代で貸与している場合には、借地権の設定による対価と相当の地代との差額の両方について贈与したものと見做され、寄付金として課税される危険性があります。長野さんの御質問の「土地の無償返還の届出」が有効となれば、そのような場合に際して権利金の認定が課されることは免れ、年額の相当の地代と実際の地代の差額についてのみ、その事業年度ごとに寄付をしたものとして判定が下り、課税される可能性はあります。 これまでに申し上げたことを前提にすると、必要があれば契約書を作成し直すことにより、今事業年度からでも「無償返還の届出」を再提出され、最初の契約時に遡って相当の地代を発生させれば、税務上のデメリットは生じないと思われます。ゆえに長野さんが御質問で示された当初御提出の「土地の無償返還の届出書」は「取下げ」という形を取られても、実害は無いと考える次第です。 なお「相当の地代」とは、法人税法基本通達13-1-2により土地の更地価額のおおむね年8%程度とされており、例えば更地価額が2,000万円であるとしたら、相当の地代の年額は、2.000万円 × 8% = 160万円となり、月額換算すると133,333円ということになるのです。 さらに土地を貸与された方が御社の取引相手さん等で、商売上の便宜等により相場より安い値段で貸すことに対して経営に関する経済的な合理性が客観的に認められるのであれば、通常の相当の地代に比し、ある程度低い価額で妥当と判断される可能性も無いわけでは無いので、もし宜しければ、次回は土地の貸与に関する事実関係等を説明して頂いた上でまた御質問して見て下さい。 注) この回答は回答日時現在の各種法令、規則等に従い行われております。その後の法改正等に関するフォローについてはこの回答上では行っておりません。なお、この回答は回答者の経験、知識等に基づき行われておりますが、あくまでサービスの範疇にすぎず、最終的な責任について負うものではない点ご留意ください。 |
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回答者 | 千葉県市川市の小林慶久税理士事務所 | ||
No.2 | 回答者:西山元章 税理士 | 回答日:2012年4月17日 | |
長野さん 公認会計士・税理士の西山元章と申します。 よろしくお願いいたします。 土地の無償返還の届出は、法人が借地権の設定等により他人に土地を使用させた場合で、その借地権の設定等に係る契約書において将来借地人等がその土地を無償で返還することが定められている場合に、これを届け出る手続です。 この届出を行っている場合には、権利金の認定課税は行われないこととなります。 この届出に関する明確な期限は設定されていないようで、国税庁のホームページでは、提出期限につき、「土地を無償で返還することが定められた後遅滞なく」としています。 ”遅滞なく”という表現は結構あいまいですね。 当該借地契約を締結した日の属する事業年度の確定申告書の提出期限がひとつの基準になると思いますが、たとえば、税務調査などにおいて指摘された後に、遅滞なく提出した場合でも事情によっては認められる余地はあるでしょう。 税務署の担当官のいう期限は、通達に記載されているのではなく、「法人税基本通手通達逐条解説」なる書籍に、著者の見解として書かれているだけではないでしょうか? 御社がどのような経緯で提出されたか、また、土地の無償返還に関する届出書の効力のない旨のお知らせ」なる書面など本件の背景については、文面からは推し量りかねますが、資産税に強い税理士の相談されることも一法かと思います。 注) この回答は回答日時現在の各種法令、規則等に従い行われております。その後の法改正等に関するフォローについてはこの回答上では行っておりません。なお、この回答は回答者の経験、知識等に基づき行われておりますが、あくまでサービスの範疇にすぎず、最終的な責任について負うものではない点ご留意ください。 |
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回答者 | 大阪府大阪市北区の公認会計士・税理士西山元章事務所 | ||
税理士への相談は、基本的に、各税理士の報酬規程に沿って「有料」だとお考え下さい。詳しくは税理士本人にお問い合わせ願います(この場合、回答者のみにお問い合わせをお願いします)。
『https://www.zeitan.net/chiebukuro/法人税/No962 のご回答から追加でお話を伺いたいのですが、相談料はどのように考えればよろしいでしょうか』 と、税理士に配慮した丁寧なお尋ねをしていただければ、きっとリーズナブルな対応をしてくれると思います(追加で無料回答を行ってくれる場合もあるかもしれません)。