トップページ > 知恵袋 > 所得税 > 未払い残業代と所得税
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No.1626 | 未払い残業代と所得税 |
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お名前:トニ | カテゴリー:所得税 知恵袋 | 質問日:2014年1月8日 |
未払い残業代を退職後に請求し、解決金として交渉して合意した額(2年分を一括で合意した額)を受け取った場合。 交渉を担当した弁護士によると、解決金は単純な残業代という扱いでなく、紛争を収める意味もあるので、当然に所得税の課税対象になるというわけではないそうです。 最終的には税務署の判断で課税の対象になる可能性はあるとのことで、税理士に相談することを勧められました。 ①この場合所得税はどうなると思われますか? ②新たな勤務先に源泉徴収を出すことになると思いますが、未払い残業代を含めて再計算した源泉徴収票を出してもらうには、どのように退職した会社に言えばいいでしょうか? |
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No.1 | 回答者:小林慶久 税理士 | 回答日:2014年1月9日 | |
トニさん、はじめまして。税理士の小林慶久です。宜しく御願いします。御質問の順序に従って、以下に御答えさせて頂きます。 回答1 貴方が御依頼された弁護士の先生が仰るように訴訟の対象、民事訴訟法で言う訴訟物が名誉や身体ないし人格を傷つけられたことに起因する、民法709条に規定する不法行為に基づく損害賠償請求権であるならば、その対価としての金銭は慰謝料的な性格を有するため、所得税の課税対象とはならないでしょう。然(しか)るに此の度の事例の収入はトニさんからすれば、そもそもは課税の対象となるべき未収の給与収入に付随するものであるので課税対象になります。そしてその場合の所得の種類ですが、合意の内容に従来の給料に加算して源泉徴収票を再提出することまで求められているのなら、当然の如く給与取得を構成すると思われますけれども、先の弁護士の先生が御考えになられるように紛争の和解金としての意味合いに着眼すれば、理論上はその所得の種類は雑所得ないし一時所得になると考える次第です。 そこで仮に前述の雑所得として今回の解決金を捉えてしまうと、その所得計算におきまして給与収入として認識する場合の給与所得控除の減額が無い分だけ、弁護士の先生にまで依頼されてようやく掴んだのに、現実問題としてごく普通に残業代をもらった方より税金の計算上はかえって不利になってしまわれます。よって「情状酌量」を考慮するなら、一時所得として計上されれば宜しいのかもしれません。その場合は下記のように、その所得金額を計算することになるのです。 {解決金の収入金額 - 必要経費(弁護士の先生への報酬等) - 特別控除額(50万円)}×2分の1 特別控除等や2分の1を乗じるといった制度上の恩恵があるため、その所得金額は他の所得として計算するのに比べて、かなり軽減されることとなります。然(しか)れども実際の申告上におきまして一時所得として計上が出来ないのなら、トニさんの御担当の弁護士の先生の主張とは相違してしまうのですが、元々の発生要因である残業代としての給与所得だと解釈した方が上述の給与所得控除が認められる分、その額が雑所得の必要経費である弁護士費用その他を上回るのであれば、そのように処理された方が宜しいと思われます。 ②件の収入に付き上記①に述べたいずれの所得として計上するかによって、自ずと変わって来ます。 (A)給与所得とする場合 トニさんが御考えになられるように、解決金の収入があった年度の給与収入に合算すべきなのですが、源泉徴収票を再発行してもらわなくとも、そのような御金が入金された旨を現在の勤務先に御伝えすれば宜しい筈です。 (B)雑所得として計上する場合 税金の手続上、確定申告書の提出が必要になるため、給与収入に関する年末調整については以前の御勤め先から支給された従来の源泉徴収票を現在の会社に提出されれば、それで済みます。 (C)一時所得として申告する場合 基本的に(B)と同じです。 注) この回答は回答日時現在の各種法令、規則等に従い行われております。その後の法改正等に関するフォローについてはこの回答上では行っておりません。なお、この回答は回答者の経験、知識等に基づき行われておりますが、あくまでサービスの範疇にすぎず、最終的な責任について負うものではない点ご留意ください。 |
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回答者 | 千葉県市川市の小林慶久税理士事務所 | ||
No.2 | 回答者:大西信彦 税理士 | 回答日:2014年1月15日 | |
お尋ねの件です。 1.解決金の性格が「未払い賃金」か「和解金、慰謝料」かで、税法上取り扱いが異なります。 前者であれば給与所得として課税され、後者なら非課税所得とされます。 解決金の算定が、問題となる労働時間をベースに算定されたのなら、未払い賃金に近いでしょうし、その算定がお互いの交渉や力関係で決められた曖昧なものに近ければ、和解金的な性格と思われます。 いずれにしても、実務的には、弁護士さんに双方の合意書に、和解金の性格について一文をいれてもらえばいいのではないでしょうか。 2.仮に和解金が給与所得に該当するとすれば、問題の会社で源泉徴収をしてもらうことになりますが、その場合には弁護士さんを通して、源泉徴収票を発行してもらうようにすればいいです。問題の会社が源泉徴収をせず源泉徴収票が発行されない場合には、基本的に問題の会社で受け取った解決金の額についての資料(合意書等)と、新たな会社からの源泉徴収票をもって住所地の税務署に確定申告をすることになります。 以上ご参考願います。 注) この回答は回答日時現在の各種法令、規則等に従い行われております。その後の法改正等に関するフォローについてはこの回答上では行っておりません。なお、この回答は回答者の経験、知識等に基づき行われておりますが、あくまでサービスの範疇にすぎず、最終的な責任について負うものではない点ご留意ください。 |
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回答者 | 大阪府大阪市北区の大西公認会計士事務所 | ||
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『https://www.zeitan.net/chiebukuro/所得税/No1626 のご回答から追加でお話を伺いたいのですが、相談料はどのように考えればよろしいでしょうか』 と、税理士に配慮した丁寧なお尋ねをしていただければ、きっとリーズナブルな対応をしてくれると思います(追加で無料回答を行ってくれる場合もあるかもしれません)。