トップページ > 知恵袋 > 法人税 > 繰延資産の開発費とは
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No.465 | 繰延資産の開発費とは |
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お名前:TOM | カテゴリー:法人税 知恵袋 | 質問日:2010年7月2日 |
19年度税制改正で繰延資産の範囲に掲げる開発費は「新たな技術若しくは新たな経営組織の採用、資源の開発又は市場の開拓のために特別に支出する費用」と定義され、「新たな事業の開始のために特別に支出する費用」は除外されました。 一方、企業会計基準委員会の実務対応報告第19号(H18.8.11)では、開発費は「新技術又は新経営組織の採用、資源の開発、市場の開拓等のために支出した費用、生産能率の向上又は生産計画の変更により、設備の大規模な配置換えを行った場合等の費用」と定義されています。 そこで質問です。「生産能率の向上又は生産計画の変更により、設備の大規模な配置換えを行った場合等の費用」を開発費等で計上しても、当該費用は税法上の繰延資産たる開発費に当たらず、一時に損金処理することはできないのでしょうか。 そもそも、「新経営組織の採用」、「市場の開拓等のために支出した費用」、「設備の大規模な配置換え」とは具体的にどのようなものを指すのでしょうか。判然としません。弊社は工場の移転を控えており、一時の損金処理を適用できるものがないか検討しております。 |
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No.1 | 回答者:西山元章 税理士 | 回答日:2010年7月4日 | |
TOMさん、よろしくお願いいたします。 ところで、繰延資産とは、将来の期間に影響する特定の費用として、すでに代価の支払が完了し又は支払義務が確定し、これに対応する役務の提供を受けたにもかかわらず、その効果が将来にわたって発現するものと期待される費用をいう(企業会計原則注解・注15)。そして、これらの費用は、次期以後の期間に配分して処理するため、経過的に貸借対照表の資産の部に記載することができるとされている(企業会計原則 3-1-D)。 つまり、支出の効果が将来にも期待できる費用について資産計上することを、例外的に認めたものであって、一義的には資産計上ではなく費用計上すべきであると考えられています。これは旧商法を引き継いで会社法も同じ考え方であるといえます。 実務的にも、繰延資産(賃借権利金等の税務上の繰延資産を除く)は、開業直後の会社が創立費、開業費を計上している程度です。 税務的にも、まず支出の内容が損金算入できるか否かを検討した後に、当該支出が繰延資産に該当するか否かを検討することとなるでしょう。 たとえば工場移転ということであればその支出が、まず、税務上損金になるか否かを検討することとなるでしょう。損金となる支出は、たとえ開発費等に該当する支出であっても、必ずしも繰延資産に強制的に計上することはありません(繰延資産はあくまでも任意計上)。一時損金が可能です。 一方、損金にならないものは、たとえば、その支出内容に応じて、機械装置等の固定資産等として計上することとなります。 注) この回答は回答日時現在の各種法令、規則等に従い行われております。その後の法改正等に関するフォローについてはこの回答上では行っておりません。なお、この回答は回答者の経験、知識等に基づき行われておりますが、あくまでサービスの範疇にすぎず、最終的な責任について負うものではない点ご留意ください。 |
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回答者 | 大阪府大阪市北区の公認会計士・税理士西山元章事務所 | ||
No.2 | 回答者:鈴木規之 税理士 | 回答日:2010年7月5日 | |
TOMさんこんにちは。 法人税法基本通達7-3-2では、生産効率アップの集中生産のための配置換えは、取得価額算入となっております。配置換えがどのような理由かがポイントとなります。御社の場合、集中生産のためではありませんか。すると、機械の取得価額算入となりますね。 参考Q&Aを載せておきます。 文献番号】 43201265 【件名】 集中生産のための機械装置の移転費用の取得価額算入 【質問】 当社では、自社工場の生産性を上げるため、新規の機械装置を導入するとともに、既存の機械装置も配置換えし、生産体制の集中化を図る予定です。その場合、既存の機械装置の移設費は法人税法基本通達7-3-12により、当該機械装置の取得価額に算入しなければならないのでしょうか。 【回答】 ご質問にあるように、法人税基本通達7-3-12では、「集中生産又はよりよい立地条件において生産を行う等のため一の事業場の機械装置を他の事業場に移設した場合等(収用換地等に伴う移設を除く)には、運賃、据付費等その移設に要した費用(解体費を除く)の額はその機械装置の取得価額に算入する」とされています。 しかしながら、そもそも機械装置の移設費は、修繕費等として移設時の損金となるべきものであり、集中生産等の場合に限り、例外的にこれを資本的支出として処理することが要請されていると考えられます。 従って、ご質問のケースのように既存の機械装置の移転が新規の機械装置の設置に伴って付随的に行われるような場合は、確かに全体的には生産集中による能率向上の事実が認められますが、移設の主たる目的が「生産集中のため」ではないことから、これを通常の移設費として、支出時の損金として処理して差し支えないものと考えられます。ちなみに、法人税基本通達7-3-12でも、その注書において「主として新規の生産設備の導入に伴って行う既存の生産設備の配置換えのためにする移設は、原則として集中生産又はよりよい立地条件において生産を行う等のための移設には当たらない。」としています。 【関連情報】 《法令等》 法人税法施行令132条 法人税基本通達7-3-12 【収録日】 平成19年 6月14日 注) この回答は回答日時現在の各種法令、規則等に従い行われております。その後の法改正等に関するフォローについてはこの回答上では行っておりません。なお、この回答は回答者の経験、知識等に基づき行われておりますが、あくまでサービスの範疇にすぎず、最終的な責任について負うものではない点ご留意ください。 |
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回答者 | 静岡県静岡市清水区の鈴木規之税理士事務所 | ||
No.3 | 回答者:平田実 税理士 | 回答日:2010年7月5日 | |
TOMさんへ 開発費に計上したものが法人税において損金に計上されるかどうか というご質問だと思いますが、 まず繰延資産は法人が支出する費用(資産の取得に要した金額とされる費用及び 前払い費用とされるべきものを除く)のうち支出の効果がその支出の日以後 1年以上に及ぶものとして次のものをいいます。(法人税法第2条24、法人税法 施行令14) 1開発費 2開業費 3開発費 4格式交付費 5社債等発行費 6 1から5の他次の費用 (1)自己が便益を受ける公共的施設等の設置、改良費 (2)資産を賃借し、使用するための権利金等 (3)役務の提供を受けるために支出する権利金等 (4)製品等の広告宣伝の用に供する資産を贈与したことにより 生ずる費用 (5)その他自己が便益を受けるために支出する費用 そこで1から5については会計上の繰延資産で、6は税務上の繰延資産と 言われております。 税務上の繰延資産は償却期間が決められており一時の損金に計上できませんが、 開発費等の会計上の繰延資産は任意償却となっており、全額一時の損金も可能です。 「設備等の大規模な配置換え」のなかで資産の取得に要した費用や前払費用と 思われるものは資産計上しなければいけないと思いますが、単に機械等を移動する 費用は損金に計上できると思われます。 注) この回答は回答日時現在の各種法令、規則等に従い行われております。その後の法改正等に関するフォローについてはこの回答上では行っておりません。なお、この回答は回答者の経験、知識等に基づき行われておりますが、あくまでサービスの範疇にすぎず、最終的な責任について負うものではない点ご留意ください。 |
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回答者 | 静岡県伊東市の平田実税理士事務所 | ||
税理士への相談は、基本的に、各税理士の報酬規程に沿って「有料」だとお考え下さい。詳しくは税理士本人にお問い合わせ願います(この場合、回答者のみにお問い合わせをお願いします)。
『https://www.zeitan.net/chiebukuro/法人税/No465 のご回答から追加でお話を伺いたいのですが、相談料はどのように考えればよろしいでしょうか』 と、税理士に配慮した丁寧なお尋ねをしていただければ、きっとリーズナブルな対応をしてくれると思います(追加で無料回答を行ってくれる場合もあるかもしれません)。