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営業権の譲渡について
No.427

営業権の譲渡について

お名前:いそろく カテゴリー:法人税 知恵袋 質問日:2010年4月19日
 A社が6月以内に2回不渡りをだし、そのAの社長が自己破産する予定ですが、その前に息子にB社を設立させました。

 そして得意先に事業を息子に譲渡しますので、今後B社とお取引願います。と御願いする予定ですが、なぜ息子に別会社を設立させたかが説明できるかが先ず問題ですが、そのような場合営業権を息子に譲渡する基準となる計算方法があるのか、又は話に無理があるためA者が倒産して社長が自己破産する旨正直に得意先に話して、B社と今後取引を御願いするのが良いか社長に聞かれたのですが解りません。弁護士に相談はしているらしいのですが、詐欺的行為に発展しそうで具体的には相談してないようです。

 又B社の取引記帳(売上、仕入、等)はどのように区切って行えば良いのでしょうか?

 宜しく御願い申し上げます。



No.1 回答者:宇佐美秀明 税理士 回答日:2010年4月19日
営業権は、技術力や信用力というような無形の財産で、営業利益等をベースに算出します。
A社は不渡りを出すようですが、営業利益はあるのでしょうか?
営業利益は出ているけれども、過去の投資の失敗などで借入超過に陥り金利負担に耐えられなくなったような場合なら営業権があるかもしれませんが、本業の業績が悪化したことによる不渡りなら営業権はないものと思われます。

ご質問では営業権を息子さんに譲渡するとありますが、そもそも営業権はない可能性が高いです。
それともご質問の営業権の譲渡というのは、上記のような本来の営業権の意味ではなく、A社の売掛債権、棚卸資産、固定資産などを息子さんのB社に譲渡するという意味でしょうか?
この場合は、適正額なら譲渡を行えますが、不当に低い金額で譲渡を行うとA社からB社に資産を横流ししたことになりますので、A社が不渡りを出した時に調べられて、B社は不当に得た利益を戻すように言われるかと思います。

A社とB社が適正額で取引を行うのであれば、例えば商品の取引を行ったのであれば、B社は通常の仕入取引と同様に、
 仕入 ××× / 買掛金 ××× (A社に対する買掛金)
という仕訳を切ることになります。
この状態でA社が不渡りを出せば、A社の債権者がB社のA社に対する買掛金を回収してくることになります。

注) この回答は回答日時現在の各種法令、規則等に従い行われております。その後の法改正等に関するフォローについてはこの回答上では行っておりません。なお、この回答は回答者の経験、知識等に基づき行われておりますが、あくまでサービスの範疇にすぎず、最終的な責任について負うものではない点ご留意ください。

回答者 大阪府高槻市の税理士事務所 えがお未来
この回答は  (役にたった/3件)

No.2 回答者:西山元章 税理士 回答日:2010年4月20日
 いそろくさん、公認会計士・税理士の西山元章と申します。

 お問い合わせの件は、いわゆる第二会社方式といわれ、事業再生でよく使われる方式で、小職も経験があります。

 会社の採算性の高い取引(事業)のみを新会社に移転して、それ以外は会社に残しておく方式です。移転する取引は当然それのみであれば黒字となります。
 この方式で注意すべきことは、採算性の高い取引を移転した後の会社は、不良財産や銀行借入金等を残した会社になることです。銀行等の債権者としてはこのようなことをされると、債権回収がより困難になるので、債権者に対する詐害行為とみなされ、いわば違法行為となる可能性が高いです。

 お尋ねのA社についても、不渡りを知悉している中での営業移転ゆえ、詐害行為とみなされる可能性はきわめて高く、B社への営業移転後、取引に支障が出るかもしれません。

 営業権については、財産評価基本通達に規定がありますが、相続財産算定に使用されるもので、このような取引には使えません。一般的には相場があればそれを使用しますが、ない場合がほとんどです。以前、裁判所から営業権の算定を依頼されましたが、きわめて特殊な例でした。

 本件の場合は、同族間の取引ゆえ、営業権を算定した場合、その根拠を問われるでしょう。営業権を否認されると、営業権を購入したB社において、法人税上はA社への寄付金とみなされます。

 実務的には、「営業権」を移転するのではなく、業務を引き継ぐというような形式にて、営業に必要な資産(売掛金、棚卸資産等)から営業に必要な債務(買掛金等)を控除した差額の代金を決済するという形をとります。
 
 他にも、いろいろ指摘すべき問題はありますが、本件も個別性の高い案件と思います。事業再生について、豊富な実務経験と高度な専門知識を有する専門家(弁護士、公認会計士等)に相談されたほうが良いかもしれません。残念ながら、弁護士、会計士、税理士等であれば誰でもできる仕事ではありません。


注) この回答は回答日時現在の各種法令、規則等に従い行われております。その後の法改正等に関するフォローについてはこの回答上では行っておりません。なお、この回答は回答者の経験、知識等に基づき行われておりますが、あくまでサービスの範疇にすぎず、最終的な責任について負うものではない点ご留意ください。

回答者 大阪府大阪市北区の公認会計士・税理士西山元章事務所
この回答は  (役にたった/9件)



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